何が来ても大丈夫
夜行バスに乗り8時間かけて東京へ。
新宿着午前7時。
実家へ向かう途中にある温泉施設に寄った。
はじめて来たその温泉施設は、平日の早い時間ということも手伝って、空いていた。
おそらく1時間くらい温泉やサウナを楽しんだ。その後、お休み処で漫画を読んでいるうちに眠くなり寝た。
起きてから、読みかけの文庫本を読み始め、読み終えた。(『夫のトリセツ』黒川伊保子)
温泉に着いたのが9時ちょうどで、そこからは時計を見ていなかった。
ロッカーに入れてあったスマホを取り出して見ると、午後3時であった。
私は昨夜から今までを振り返ってみて、
なんだか満足感を得た。
夜行バスではスマホを見ることも叶わなかった。
故に寝るくらいしかやることがない。
とはいえ、夜行バスではそうそううまく眠れない。
そこでどうしたかというと、音楽を聴いたり深夜ラジオを聴くなどしたのである。
今回はどうやら音楽がハマった。
こんなに集中して、噛み締めるように音楽を聴くのは、果たしていつぶりだろうかと思った。
何かほかの作業をしながらではなく、ひたすらに音楽だけに意識を向ける時間を、私は最近持っていたか。
いや、持っていなかった。
普段、あらゆることに意識を飛ばして忙しくしてしまう癖がある。
また、癖があることを認識したところで、日常的にはどうしても選択肢が豊富なので、目の前のことに集中しているつもりでも、実際そうでもないということの方が多い。
マルチタスクを勧める人はよくいるが、そんなものは勧めるまでもなく、現代人の日常はほぼマルチタスクである。
夜行バスでは選択肢が少ない。それがよかった。目の前の事に没頭させてくれた。
今何かに没頭している時間は、効率的にと思ってあれこれ先走って考えてやっているつもりの時間よりも尊い。
温泉に着いてから15時現在に至るまでも、スマホや時計を忘れるよう過ごしたのが良かった。
温泉に入りたいだけ入り、休みたいだけ休み、充実した読書の時間も取れた。
その結果、今のこの満足感に至った。
今の自分だったら、この心持ちだったら、なんだかとても良い事ができそうな気がする。
正しい判断ができる気がする。
この感覚はかなり忘れがちだが、今日のように、また思い出すこともできる。
できるだけ、この感覚を忘れないようにしたい。
さて、もうひとっ風呂、いこうか。